INTERVIEW WITH
KOJIMA PRODUCTIONS
コジマプロダクション インタビュー

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ヤマトさんは物流を止めずに
物を届け続けていくこと、
コジプロは
デジタルエンターテインメントを
世に送り出し続けること、
この双方の思いを絵にするために
かなり細かいところまで確認を
繰り返しました。

コジマプロダクションのチームみなさんが、その現場感と俯瞰した全体感を両方持ちあわせている方が多いのかなという印象もあります。

松花 コジマプロダクションというチームは、形としては監督の下に各リーダーがいて、さらにユニットが枝分かれていくような何階層もの組織構造にはなっています。ただ小島監督は非常に現場主義というか、開発が行われてるスタジオの間をリーダーだけではなく一人ひとりのスタッフともコミュニケーションをとろうとします。一対リーダーたちというような構造ではなく、小島秀夫ひとり対スタッフ全員という形をとろうとされるんです。もちろん百名近くスタッフが増えている中でそれを実行するのはなかなか難しいところはありますが、そういう意識でチーム全体が動いています。

組織のあり方として面白いですよね。すべての組織がそのようなかたちを取るのは難しいとは思いますが、チームが対等であり、スタッフそれぞれが責任感を持って仕事と向き合うと思うので、とても有機的でスピード感が出てくるはずです。

松花 全員がプロフェッショナルという自負もあるかと思います。どこのゲームスタジオにも負けないスキルを持ったプログラマー、サウンドエンジニア、アーティストが集まっているので、それぞれの分野において表現力は必然的に高いものが生まれますよね。

今回のキービジュアルにコジマプロダクションのキャラクターであるルーデンスと、ヤマトグループキャラクターのクロネコが一緒に登場しました。このビジュアルの監修にアートディレクター新川洋司さんにご協力いただいています。ビジュアルを制作するにあたって新川さんとはどのようなやり取りがあったのでしょうか?

松花 まず今回のこのコラボ自体がとても異色ですよね(笑)。「私たちは届け続ける」というテーマのもと、ヤマトさんからコジマプロダクションと組んで何かコラボレーションできないか、というお話をいただいて、チーム全員の中に「なぜこの組み合わせなのだろう」みたいなものが実はありました。そこから何度も打ち合わせを重ねることでこのコラボの意味みたいなものを感じ取っていき、目指していく方向性を新川に説明していきました。クロネコとルーデンスが並び立っているときに、ヤマトさんは物流を止めずに物を届け続けていくこと、コジマプロダクションはデジタルエンターテインメントを世に送り出し続けること、この双方の想いを絵にするときには、目線はもっと遠く、未来を見据えていたほうがいいねとか、立ち位置やポーズ、光の差し方、背景はこうした方がいいなど、かなり細かいところまで確認を繰り返しました。携わっていただいている方々、ヤマトさんたちとさまざまな意見を交わしながら完成することができました。ルーデンスはコスチュームの仕様もあって曲がるところ曲がらないところがあるのですが、テーマを考えたときに首の角度はこうしたほうがいいというこだわりがあったので、最後まで細かく修正を重ねたからこそ非常にやりがいがあったかと思います。

新川洋司さんにスケッチしていただいたラフ画

ルーデンスというキャラクターはオランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガが提唱した「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」に大きく起因していて、コジマプロダクションのウェブサイト内で読めるメッセージでも「遊びとはただの暇つぶしではなく、根源的な想像なのです」といった言及があります。このルーデンスが作り上げられた背景を教えていただけますでしょうか。

松花 コジマプロダクションには、ゲーム業界がいままでやってきたことをただトレースするのではなく、新しい道を切り開いていこうという意志があります。ルーデンスが着ている宇宙服も、誰も行ったことがない星だったり、もしくは深海だったり、そういう未開の地を切り開いていくという意思の表れのもとゲームを作っています。企業には社是社訓というものがあると思うのですが、私たちにとってはこのルーデンスという「遊ぶ人」がアイコンになるのです。どんなことがあっても遊ぶ気持ちが大切ですし、その中で未開の地に行くという想いがある。小島監督も宇宙への憧れがありますし、未知なるものへのワクワクは性別や年齢を問いませんよね。ルーデンスはあくまで私たちのメッセージが込められたイメージキャラクターなのです。

さきほどのお話で今回の企画が異色だという声がチーム内にあったとのことですが、松花さん自身は今回のコラボレーションのお話を伺った率直な感想はどのようなものだったのでしょうか?

松花 改めて配達員さんたちのことを思い返しました。私たちは物を届けるというゲームを作りましたが、実際に物流というものは社会のインフラであり、ライフラインにもなっています。また、世界がこういう状況になって初めて気付くことが多かったと思います。なにかを買うときはネットでポチッとすれば玄関まで届けてくれることが普通になっている時代に、人が容易に外に出られなくなると私たちに代わって配達員の方たちが生活をストップさせることなく頑張ってくれています。当たり前のように享受していたことがやはりみなさんの努力によって支えられていたことが表面化したことで、改めて感謝しないといけないと思ったのです。今回のコラボレーションの話をいただき、『デス・ストランディング』の中にあるひとつのキーワード「相手のことをおもんばかる」ことをゲームから投げかけていたからこそ、ヤマトさんに負荷がかからない程度で協力できればいいなと至りました。私たちは同じ社会を一緒に生きているからこそ、なにか励ますことができるのであればとてもいい機会だなと感じています。

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