新商品開発秘話➀~宅急便Pサイズ~
「試験前のノートの貸し借りに宅急便を利用しているが、料金を安くしてほしい」。
そんな学生の声をきっかけに、1982(昭和57)年、当時展開していたSサイズより200円安い2キロ以下のPサイズを含む宅急便独自の運賃を運輸省(現:国土交通省)に申請した。
当時は宅配便運賃の基準がなく、路線トラック運賃が適用されていたため、審議されないまま1年間棚上げされる。
そこでヤマト運輸は、Pサイズの取り扱い開始を1983年6月1日と記載した認可申請書を提出し、5月17日の新聞に「Pサイズ6月1日開始」の広告を掲載。
それでも運輸省が反応を示さなかったため、次に「運輸省の認可が遅れているため、やむなく開始を延期する」という広告を掲載したのだ。
この広告が世論を味方につけることになり、消費者がヤマトを支持。
その結果「宅配便の運賃は事業者の自主判断を尊重する」という見解をまとめた運輸省は7月27日、正式に宅配便運賃制度認可基準を決定した。
ヤマトの申請は8月4日に正式に認可され、8月15日に新運賃制度とともに宅急便Pサイズを発売。
この出来事をきっかけに宅配便の運賃基準やルールなどが整備されていった。